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事故を起こしたらどうなってしまうの?

即、刑務所です。

先にまとめた刑罰/減点はもちろんのこと、対人事故であれば相手と自分の人生をめちゃくちゃにしますし、対物/自損であっても大きな経済的/社会的損失は免れません。
アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態で運転して、人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪の適用を受け、最長20年の懲役を科せられます。

07年(平成19年)中の警察庁の統計によりますと、飲酒あり運転の死亡事故率(*)は5.69%で、飲酒なし運転の場合の0.60%に比べて9.4倍というデータが発表されています。このデータをもとに、さらに飲酒あり運転のうち酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)での死亡事故率を算出すると、飲酒していない場合に比べて34.4倍という非常に高い数値となるのです。
(*)死亡事故率=死亡事故件数÷交通事故件数×100

自動車保険

保険は被害者救済の観点から対人賠償と対物賠償のみ有効となります。

相手だけは救済します

飲酒運転は重大な法令違反です。しかしながら、運転者が法を犯したかどうかにかかわらず、事故に巻込まれた方は被害者であることに変わりありません。そのため、「被害者救済」の観点から、自賠責保険・対人賠償保険のいずれも、免責(=保険金支払の対象外)にはならず、保険金が支払われます。同様に、無免許運転や、麻薬服用などの法を犯した運転者による事故の被害者になってしまった場合も、「被害者救済」の観点から保険金は支払われます。

飲酒運転ほう助(幇助)行為に対する過去の判例

【飲酒運転事故の判例】ドライバーに酒類提供はNG! “ほう助”で罪に問われたケース

飲酒運転は、交通違反ではなくれっきとした“犯罪”。運転者はもちろん、飲酒の事実を知りながら同乗したり、またドライバーにお酒を提供しても処罰の対象となります。今回は、このようなほう助(幇助)行為が、実際に罪に問われたケースを、過去の判例をもとに紹介します。
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<事例1>飲酒運転の車に同乗した運送会社スタッフ/危険運転致死傷罪ほう助罪・懲役2年

【発生日時】2008年2月17日午後7時25分頃

【事故内容】
 事故発生日の午後1時30分頃、運送会社で働く男性(当時32歳)が車で埼玉県熊谷市の居酒屋を訪れ、職場の先輩ら数人と約5時間に渡り飲酒。千鳥足になるほど酔っていたにもかかわらず、車を運転して2軒目へ移動。開店前だったため、「そのあたりを一周しよう」と、先輩2人を乗せてドライブをすることにした。午後7時25分頃、時速100~120キロでカーブに進入して曲がりきれず、対向車線にはみ出して車2台と衝突。2人が死亡し、4人が重軽傷を負った。

【判決】
 男性に対しては、危険運転致死傷罪で懲役16年の判決。同乗した先輩は、男性からのドライブの提案に頷いたり、「そうしようか」と言って車を発進させることに了解を与えたことなどから、「安易かつ無責任な了解、黙認で犯行を容易にした」として、懲役2年の実刑判決が下された。また、彼らに酒を提供した居酒屋の店主に対しても、懲役2年(執行猶予5年)の有罪判決が下された。

 2軒目の駐車場を出てから事故を起こすまでには十数分の時間がありました。その時間、先輩2人は走行をやめるよう男性を説得することも可能だったはずです。職場で男性を指導する立場にある人から言われれば、男性は応じていたでしょう。

<事例2>19歳の少年による飲酒運転に同級生が同乗/道路交通法違反・懲役1年10ヶ月(執行猶予4年)

【発生日時】2011年11月5日午前0時35分頃

【事故内容】
 発生前日の午後8時30分過ぎ、少年(当時19歳)が同級生とともに長野県長野市の居酒屋を訪れた。2人で生ビールやチューハイ、日本酒などを飲み、5日の午前0時15分頃に店を出ると、少年は同級生を送るため車を運転。その約20分後、道路にいた17歳の少女2人をはねてしまった。ところが、「飲酒がばれると思った」「パニックになった」という理由で、その場にとどまることなく、被害者1人を車底部に巻き込み、引きずったまま約700メートルも走行を続けた。Uターンして現場付近に引き返したところを、ひき逃げ事件として捜査中の警察官が発見。引きずられた少女は死亡、もう1人も重傷を負った。

【判決】
 少年に対しては、殺人やひき逃げなどの罪で懲役17年の判決。一方、少年が酒気帯び状態であることを知りながら車に同乗した同級生は、事件以前にも少年と酒を飲み、車で送ってもらったことがあった。今回ははっきりと言葉にして依頼したわけでないが、自分でドアを開けて助手席に乗り込んだほか、「(酒を飲んでいるが)大丈夫か」「おう」という会話があったことから、「暗に運転を依頼したのと同じ」「少年が車で同級生を送ることは互いの了解事項だった」とされ、懲役1年10ヶ月、執行猶予4年の判決が下された。

 少年は、この年に運転免許を取得したばかりでした。周囲に飲酒運転をする人が多く、抵抗がなくなって10月頃から繰り返していたといいます。「なぜ飲酒運転をしたのか」と問われた際は、「駄目だとはわかっていたが、深くは考えなかった」と答えています。

<事例3>ドライバーに酒類を提供した店主/運転免許取消(欠格期間3年)

【発生日時】2011年12月10日午後11時10分頃

【事故内容】
 発生日の午後6時頃から、兵庫県加西市の食堂で飲酒していた男性(当時53歳)が、午後8時30分頃にスナックに移動。持参したワインを飲んでいたが、酔いがまわってほとんど居眠りをしていた。また、ジャンパーを忘れて車に戻ったため店主が届けに行くと、運転席でも眠っていた。ジャンパーを渡されると、男性は「これ(車)がないと明日困るんや」と言ったが、店主は店内に戻り、知人に代行運転を依頼。ところが、すでに車は発進した後だった。男性はコンビニに立ち寄り、午後11時10分頃に再度発進したが、すぐ居眠り状態に陥って道路左側にはみ出し、12歳(当時)と8歳(同)の兄弟をはね飛ばして死亡させた。

【判決】
 男性には、危険運転致死罪で懲役14年の判決が下された。また、酒を提供した食堂とスナックの店主に対し、「運転すると知りながら男性に酒を飲ませた」として、兵庫県公安委員会が運転免許取消(欠格期間3年)の行政処分を行った。二人の店主は、事故直後の新聞取材に対し、「車で来ているとは知らなかった」「客との信頼関係で成り立っているから、車で来たかとは尋ねられない」と話しているが、酒類を提供する飲食店の責任者としては、規範意識が低いと言わざるを得ない判決となった。

 犠牲になってしまったのは、皆既月食を見に行った帰りにたまたま現場に居合わせた幼い兄弟。“飲酒運転による悲惨な事故”として、当時大きく報道されました。

 飲酒運転の根絶には、ドライバーだけでなく周囲の協力が不可欠。取り返しのつかない事態を招く前に、厳しく目を光らせなければなりませんね。

 なお、飲酒運転事故では、加害者が任意保険に加入していて一定の損害賠償が見込まれる場合、被害者や被害者遺族、加害者家族にとって救いとなるケースもあるようです。万一の際の補償についてよく確認しておくことは、ドライバーの責任の1つといえるでしょう。

飲酒運転で処分 その後の人生

【違反者の半数超「捕まらないと思った」】

 飲酒運転で免許取り消しなどの行政処分を受けたドライバーのうち、9割以上が「(行政処分などが)家庭や仕事に影響した」と答えたことが14日、兵庫県警のアンケートで分かった。全体の2割が勤務先からの解雇や退職など厳しい処分を受けたという。一方、飲酒運転した理由に半数以上が「捕まらないと思った」と回答。厳罰化の流れを受け、企業などが厳格な対応をとる一方で、ドライバーの意識の低さもうかがえる。

【グラフィック】驚くべき飲酒運転の理由

 アンケートは今年9~10月、免許の取り消しや90日以上の停止処分を受けた違反者を対象に県警が初めて実施。飲酒運転に対する勤め先の反応など5項目を尋ね、20~70代の男性50人、女性8人が答えた。

 勤務先の反応について尋ねたところ、自営業や無職などを除く26人が厳しい処分を受けていた。半数の13人は「解雇、退職」で、「降格、減給」が8人、「配置換え」も5人いた。

 一方、飲酒運転をした理由では「捕まらないと思った」以外に、4割近くが「少量なので大丈夫と思った」と回答。ドライバーが安易な気持ちでハンドルを握っている実態が分かった。

 県警は忘年会などで飲酒の機会が増える年末に向け、飲酒検問などを強化する。県警は「軽い気持ちの飲酒運転が家族や仕事、社会的地位を失うということを肝に銘じてほしい」と呼び掛けている。

【罰則強化後も事故相次ぐ 県警「下げ止まり状態」】

 飲酒運転をめぐっては10年以上前から厳罰化が進んでいるものの、重大事故を引き起こすケースが後を絶たない。兵庫県内では今年9月末までに飲酒運転による人身事故が133件起きており、昨年1年間よりも4人多い11人が犠牲になっている。

 2002年と07年の道交法改正で罰則が強化された。酒気帯び運転の場合、「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」から「3年以下、50万円以下」となった。09年6月には行政処分も見直され、酒気帯び運転などの違反点数が大幅に引き上げられた。

 しかし、兵庫県内では07年の罰則強化で減少したものの、その後も一定数の人身事故が発生。取り締まり件数もなくなっておらず、県警交通企画課も「下げ止まりの状態」としている。

 今年7月には北海道や埼玉県で飲酒運転による死亡ひき逃げ事故が相次いだ。兵庫県内でも同月、神戸市須磨区で酒に酔った男が運転していた乗用車がミニバイクと衝突し、バイクの女性が死亡する事故も起きている。