【違反者の半数超「捕まらないと思った」】
飲酒運転で免許取り消しなどの行政処分を受けたドライバーのうち、9割以上が「(行政処分などが)家庭や仕事に影響した」と答えたことが14日、兵庫県警のアンケートで分かった。全体の2割が勤務先からの解雇や退職など厳しい処分を受けたという。一方、飲酒運転した理由に半数以上が「捕まらないと思った」と回答。厳罰化の流れを受け、企業などが厳格な対応をとる一方で、ドライバーの意識の低さもうかがえる。
【グラフィック】驚くべき飲酒運転の理由
アンケートは今年9~10月、免許の取り消しや90日以上の停止処分を受けた違反者を対象に県警が初めて実施。飲酒運転に対する勤め先の反応など5項目を尋ね、20~70代の男性50人、女性8人が答えた。
勤務先の反応について尋ねたところ、自営業や無職などを除く26人が厳しい処分を受けていた。半数の13人は「解雇、退職」で、「降格、減給」が8人、「配置換え」も5人いた。
一方、飲酒運転をした理由では「捕まらないと思った」以外に、4割近くが「少量なので大丈夫と思った」と回答。ドライバーが安易な気持ちでハンドルを握っている実態が分かった。
県警は忘年会などで飲酒の機会が増える年末に向け、飲酒検問などを強化する。県警は「軽い気持ちの飲酒運転が家族や仕事、社会的地位を失うということを肝に銘じてほしい」と呼び掛けている。
【罰則強化後も事故相次ぐ 県警「下げ止まり状態」】
飲酒運転をめぐっては10年以上前から厳罰化が進んでいるものの、重大事故を引き起こすケースが後を絶たない。兵庫県内では今年9月末までに飲酒運転による人身事故が133件起きており、昨年1年間よりも4人多い11人が犠牲になっている。
2002年と07年の道交法改正で罰則が強化された。酒気帯び運転の場合、「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」から「3年以下、50万円以下」となった。09年6月には行政処分も見直され、酒気帯び運転などの違反点数が大幅に引き上げられた。
しかし、兵庫県内では07年の罰則強化で減少したものの、その後も一定数の人身事故が発生。取り締まり件数もなくなっておらず、県警交通企画課も「下げ止まりの状態」としている。
今年7月には北海道や埼玉県で飲酒運転による死亡ひき逃げ事故が相次いだ。兵庫県内でも同月、神戸市須磨区で酒に酔った男が運転していた乗用車がミニバイクと衝突し、バイクの女性が死亡する事故も起きている。